ビフィズス菌について

母乳に多く含まれるビフィズス菌

母乳栄養児の排泄物からビフィズス菌を発見したのは、パスツール研究所に勤めていたティシエだといわれています。それは1899年のことだったそうです。基本的に健康な人間の腸内には、ビフィズス菌が大量に存在することが確認されています。その中でも典型的なのは、母乳栄養児、つまり母乳で育つ赤ちゃんです。
ビフィズス菌は私たち人間の腸内フローラ(菌叢)を形成している細菌の1種です。母乳栄養児の腸内フローラの90%は、このビフィズス菌が占めています。人工栄養児の場合になると、その糞便には大腸菌群が多く認められるようになり、結果としてビフィズス菌が少なくなることがわかっています。
ビフィズス菌は糖を分解することによって、乳酸や酢酸を作ります。これにより、母乳栄養児の腸内は酸性になるのです。ビフィズス菌は、大腸菌や他の病原性腸内細菌の増殖を防ぐだけでなく、母乳栄養児の腸内感染症にかかる確率や死亡率を低くする効果が認められています。
人間の乳の中には、乳糖が多く含まれています。ほとんどの乳糖は小腸で分解されるのですが、一部はそのままの状態で大腸に届けられます。そして、ビフィズス菌叢の酵素が働くことによって、腸内の酸性環境作りを助けてくれるのです。人間の乳に含まれるビフィズス因子はビフィズス菌を増殖させるだけではありません。ラクトフェリンやリゾチームといった栄養素が、大腸菌の増殖を抑制してくれるのです。そのため、母乳栄養児の腸内には、必然的にビフィズス菌叢がたくさん作られるようになるのです。

母乳に多く含まれるビフィズス菌

腸内フローラとビフィズス菌の関係

私たちが生まれてから死ぬまで、ビフィズス菌は長い間、腸内に存在し続けてくれます。ですが、その数は年齢を重ねるごとに少なくなってしまいます。乳児期において腸内細菌の90%を占めるビフィズス菌ですが、幼児期に入るとこれが10%に減少し、老年期には1%にまで減ることがわかっています。ビフィズス菌の減少をなるべく最小限に抑えるために大切なのは、腸内フローラのバランスを保つことです。腸内フローラの正常なバランスは、健康維持にもつながるでしょう。
近年では、ビフィズス菌の増殖を手伝ってくれる物質を添加した、育児用の調製粉乳も見られるようになりました。調製粉乳を摂る人工栄養児であっても、排泄物が酸性に傾くようになり、腸内においてもまた、ビフィズス菌の増殖が認められています。

環境によって性質が変化するビフィズス菌

環境によって性質が変化するビフィズス菌

このようなビフィズス菌の中にも、亜種が存在することがわかっています。亜種とは、種として独立させるほどには大きくはないものの、変種と定義するには相違点が多いという一群の生物に用いられる単語です。ビフィズス菌の場合、約30菌種に分類することができます。そのうち人間の腸内に住むビフィズス菌は、約10菌種だといわれています。母乳栄養児の腸管内で増殖する種だけでなく、成人や人間以外の動物の腸内において増殖する、さまざまな亜種が確認されているのです。現在までにそれらは、人間の腸内には住み着かないと考えられています。
人間の腸内に住むビフィズス菌であっても、その増殖性や定着性、生産される酢酸や乳酸によって促される蠕動運動の力、ビタミンB1・B6・B12・葉酸などを作る能力、カルシウムの吸収促進等、個別の違いがあります。個性があることもビフィズス菌の特徴でしょう。

腸内にビフィズス菌が増えると、便通や下痢が良くなる効果があるので、胃腸薬や整腸薬には多くのビフィズス菌が配合されています。しかし、乳酸菌と同じように腸内環境を正常に整えてくれたり、免疫力を高めてくれたりするだけではありません。花粉症などのアレルギー症状の改善にも期待されているのです。

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