私たち人間の腸内には、300種類、100兆個、重さにして1キログラムの細菌が住んでいるといわれています。人間一人を構成する細胞の数が、およそ60兆個ということなので、100兆個という数字が実に大きな意味を持つか想像できます。
これらの腸内細菌は、善玉菌、悪玉菌、日和見菌という3つに分類されています。善玉菌、悪玉菌、日和見菌の比率は、20:10:70だと、一般的には考えられています。人の腸内では、善玉菌と悪玉菌が常にせめぎ合っている状況なのです。腸内における整調作用とは、これら3つの細菌のバランスが正常に保たれることを意味しています。理想は、善玉菌が30%、悪玉菌が10%、日和見菌が50~60%という割合です。
日和見菌は、数の上では一番多いのですが、普段は身体にほとんど影響を与えません。しかし特殊な性質を持っています。腸内において善玉菌が優位に立つと、日和見菌は善玉菌として整腸に役立つように働いてくれるのですが、悪玉菌が優位に立ってしまうと、一転して悪玉菌と共に悪影響を及ぼすようになるのです。
善玉菌の種類は、現在までにおよそ500種類が確認されています。善玉菌の特徴は、人間の身体に有益な作用をもたらし、健康維持や生命活動に必要な物質を産生することです。善玉菌の代表格は、もちろん乳酸菌とビフィズス菌でしょう。私たちの健康が、腸内に定着している乳酸菌・ビフィズス菌の種類や菌の数と相関関係にあることは、明らかな事実なのです。
乳酸菌・ビフィズス菌の他にも、特に抑えておきたい善玉菌は多数存在します。
善玉菌の種類のうち、納豆菌・酵母菌・麹菌は、糖化菌と呼ばれています。糖化菌とは、糖化作用を持っている細菌群の俗称です。糖化菌は胃酸の強い酸性、アルカリ性、タンパク質の変性や熱の影響を受けることなく、安定した状態で腸まで届くことで知られています。